告白 (シアワセ)

- 七地 -








『答えは君の手の中だよ…』




おれが選ぶ事なんてできない。答えは決まっているのだから。
君が選んでくれたものがおれの全て。
今なら…どんな事でも受け入れられる。



心からそう思えた直後…荒々しい腕の中に捕らわれた。



「いいのかい?君の未来を壊すかもしれないんだよ?おれには…それほどの価値なんてない。君にあげられるものは…この身体1つだけ。それでも君は選んでくれるのか?」

真っ直ぐに絡められた視線。逸らされる事なく囁かれた言葉に、呼吸が止まる。

「さっき…俺の中で全部ぶっ壊した。後はあんたと創るだけだ…」



ああ……2人共見事、梔子に絡め採られたみたい。
隠す事など出来ない。咲き誇る美しさ、匂い立つ愛しさに…捕らわれた。
もう迷わなくていい。全ては君と共にあるのだから。





激しすぎる口付け。
息吐く暇もなく貪られ、貪る。
何度も交わされた筈なのに…今初めて触れたような感覚。
口端から零れる銀糸など気にならない。
とにかく夢中で舌を絡め合う。

互いに息苦しさを感じた頃、解かれた口唇から零れるのは…吐息だけ。
震える吐息だけが言葉になり、意味を持つ。

口唇は首筋を辿って、鎖骨の窪みで止まる。
吸われる軽い痛みと共に、紅い花弁を幾つも刻み付けた。
これほど『所有の証し』を嬉しく思う事などなくて…落ちる涙。
間断なく施される愛撫はこの上なく激しい。
知り尽くされたポイントを追い詰める様に攻め立てられ、嬌声が抑えられない。
胸の突起に舌が絡められた時、一際大きなうねりが背筋を駆け上がった。

「あ、ぁぁ…」
「もっと…もっと俺に溺れてくれ…」

その言葉が引き金になって、なけなしの理性が吹き飛んだ。

胸の突起を指で転がされる。その度に下腹部の疼きは増して…
いきり立つ自身の先から溢れる先走りが、重ねられた彼の身体に擦りつけられる。
おれの内腿にも猛り狂う闇己くん自身を感じて……我慢できなくなった。

「…欲しいっ…きみ…が……おれのなかに…溢れさせ…て…」

初めて自分から求めた。
まだ…自分の身体が受け入れる体制になっていない事はわかっている。
数刻前に貫かれているとはいえ…女性のそれとは作りが違う。時間をかけて綻ばせなければ確実に苦痛を伴う事も 知っている。
それでも…その痛みですら刻み付けて欲しかった。
おれにとって"君と共に在る証し"となるから…。

「いいのか?…途中で止める自信…ないぞ」

ゆっくりと広げた脚がYesの合図。
早急な愛撫で幾らかは綻びはじめていた最奥の蕾。
それでも足りない潤いを補うように絡められる舌。
体中を快楽の渦に飲み込まれそうになった時、それ以上の衝撃が走る。

「うぁぁぁっっ!」

もの凄い質量のものが躊躇なく押し入ってくる痛み。
呼吸を止めそうになるのを必死に耐え、痛みを逃すよう、進入を拒まないよう…浅く繰り返した。
最奥まで達したのを感じて、大きく息を吐く。

「大丈夫か?」
「うん…今…初めて君と…1つになった…気がした…」

満たされた喜び…まだ残る痛み以上の充足感。
重なる心と身体。
これが……しあわせ?





汗と吐息、梔子の薫りに包まれながら…幸福な闇の中へと意識を沈めた。





遠くでおれを呼ぶ声。
覚醒を促されてゆるゆると目蓋を押し上げると…愛しい君の顔。
少し眉を顰めて、心配そうに覗き込んでいる。
なかなか見る事の出来ない彼の"情けない顔"に思わず吹き出してしまう。
不貞腐れた視線を流すけど、怒っている訳じゃないのは判ってるよ。
君はもの凄く恥ずかしがりやなんだよね?



照れ隠しに閉じ込められた腕の中は、今まで以上に安心できる。

「あんたがいるから…俺は強くなれる。この強さがあればどんな事でも出来るんだ。わかるか?」

1つ頷く。

「これから喧嘩を売りに行く敵はかなり手強い。生身の人間相手には神剣も鍛治師も役立たずだ」

…全国に散らばる布椎一党相手の大喧嘩。 それでも負ける気がしないのは……

「迷う事ない人間は…無敵だよ?」





もう迷い様がないのだから。
君がいる。
おれがいる。
その事実さえあれば…



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chapunの言い訳

ちょぴっとエロ風味になってしまいました。
最近己自身いろいろと迷う事が多く、必然的にこんなお話を書いてしまいました。
迷う事で気付いたり、人間的に大きくなれる事…多々ありますよね?
二人にも沢山迷ってもらって、大きな壁を乗り越えてもらいたいです!

時間があれば『対決!布椎一党編』も書きたいですvvv



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