12月26日  


よれよれになったカカシ先生が俺の元へ帰って来たのは、クリスマスを一日過ぎた26日の夜だった。

木ノ葉の里にもチラチラと雪の降る寒い夜。
先生は銀色の髪に雪を乗せて帰って来た。
玄関のドアの前で申し訳無さそうに眉を下げたカカシ先生を、俺は無言で部屋へ招き入れる。

多分この人は今。
クリスマスを一緒に過ごそうと約束したのに守れなかった事を気にしているのだと、そう思った。

「温かいもの淹れて来てやるってば。センセ、座って待って・・・」

キッチンへ向かおうとした俺の服を、背後から先生に掴まれて俺は立ち止まった。
ゆっくりと振り返ってみれば、先生はこてんと俺にその身を預けてくる。

戦線に出ていたカカシ先生の体は冷え切り、僅かに忍服に染み込んだ血の臭いがする。
側にあるソファーへ促し、二人で腰掛けてから。
そっと冷たく冷えた先生の体を両腕で包んでやると、先生はほぅ、と息を吐いた。

「ただいま、ナルト」
「おかえり、カカシ先生」
「約束、守れなくてごめん」

やっぱり。

「プレゼントもさぁ・・・買ってる暇無くて」

当たり前だってば。
あんた、戦線潜ってたんだから。

それにこの人は分かっていない。
そんな危険な任務から、無事に俺の元へ帰って来てくれたのが何よりのプレゼントなのだと言う事を。

俺の元へ帰って来て、俺の腕に抱かれて初めて安堵しているその姿が、どれだけ俺を悦ばせているか、この人は分かっていないのだ。

「あのなぁ。ンナもんいらねぇって。クリスマスは来年も再来年もやってくるんだってばよ?今年がダメでも来年やり直しすりゃいいじゃん。来年もダメなら再来年。クリスマスなんてさ、これから何度だって・・・」

ああもう・・・
寝てるよ。この人。

折角・・・
プロポーズしてるつもりだったんだけど。

それでも。
すぅすぅと軽い寝息をたて始めた先生を見ていると、とんでも無く幸せな気分になってしまうのだから。

俺はそっと。
先生の耳元で囁いた。



どうせ先生には届いちゃいねぇだろうけど。



「メリークリスマス」






おわり

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chapunの感謝の弁

ちょっと不器用だけど、愛が沢山溢れている2人の関係に温かな気持ちを沢山貰えましたv
心より感謝申し上げます。m(._.*)m